MAX…それはエア工具界隈では神と言うべきメーカーさん。従ってエアコンプレッサーでも神!そんなMAX電動工具から塗装用のコンプレッサの発売が決まりました。
これね。神なるMAXにおいて、コンプの用途として比較的メインなはずの「塗装」の話題、あまり聞いたことなくないですか?!いやまあそりゃわたしが大工さん向けエア工具を扱う店のスタッフだからですけど…。。。
いやね。どうもコンプレッサーにもいろいろあるみたいでして。
エア工具用の選定の仕方、塗装用の選び方、けっこう違うみたいなんですよねー!うんめっさややこしい!
というわけで今日はそういう話もできたらなと思います!!
ではまずこの商品の概要をば。
この商品圧力高いということで、常圧用のエアチャックが2つついてるんですが…これ、ひとつが塗装用の細径エアチャックS。もうひとつが釘打機にもつかえる一般的なエアチャックです。そう!常圧限定ですが、エア工具も併用可能なんですねー。
また、シリーズとして1270E2の流れにあるので、衝撃の「スマホでコンプを操作」できる諸機能がだいぶ移植されております!
塗装の場合は塗料で手とか手袋してそうっていうか…汚れる気がするんだけどスマホ対応どうかなぁ…って気もするんですが…。でも、塗りの場合は「ON圧」と「OFF圧」を自分で設定できるモードがかなり刺さるんじゃないかと思うんですよね!いかがでしょう!
そのほか1270E2でも好評の、防犯アラーム、ブレーカー落ち軽減モード、自己診断、いっぷくタイマーなどの多彩なモードも「生き」。
また、静音設計67dbもうれしいです。日動工業から発売している家庭用コンプの『ぴんこん』とか97dbあるからね…。
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さてさて。では塗装用コンプと、当店で今まで取り扱ってきている大工さん向けコンプ、何が違うんだろ?という話を、今回の商品の宣伝も兼ねてしていきたいと思います。
世の中のコンプレッサ、エア工具用、塗装用で、だいぶ住み分けがあるようです。
まず私の知ってる方のコンプレッサなんですが…いわゆる『大工さん向け』。
釘打ち機やピンネイラを打つ場合、必要なのは「圧力」。ぱしゅっぱしゅっ!と一発の瞬発力でする作業ですからね。
この圧力は、「タンク内最高圧力」とか、「圧力制御範囲(の高いほうの数値)」などで確認することができます。電動工具屋で見かけるものは高圧が主流のせいか、だいたい「4.4MPa(45)気圧」になってることが多いです。
また、局所局所で使うせいかエアタンク容量はさほど不要、8リットルとか普通だし、タンク改造してある27リットルのマックスAK-HH1270E2あたりが最大クラスかねえ。
いっぽう『塗装用』のコンプレッサーの場合なんですが…
スプレーなどは、弱くとも同じ力でずっと吹き続けなければならない、という使い方なので瞬発力というか圧力不要。息切れしちゃいますね。制御圧力も1.0MPa以上は使うことねぇしなーってかんじで、数字もそれくらいに収まってる。
そのかわり、「肺」にあたるタンク容量が多いです。20、30リットルは当たり前、60リットル80リットル…規模の問題ですが上は天井ないってかんじですね…容量が上がるにつれ見た目も巨大なハコみたいになっていきます。複数人で塗装できるようなものだとそうなっちゃうのね。。
さて。さてさて。
ということはですよ。今回MAXの新製品「塗装用エアコンプレッサー」とのことなので、「圧力」低めの「タンク容量」多めなのかな?と思ったのですが…
違うんですねぇ。なんということでしょう!!!ばったもんなのか!?
確かに常圧専用ではありますが「最高圧力45気圧(4.4MPa)」「タンク容量11リットル」と、いわゆる一般的な、大工さん向けスペックに見えるんです。一見。
え~ここで、エアコンプレッサの能力についてちょっと補足なんですが。
実は公式があるそうなんですわ。
「タンク容量L(リッター)」×「圧力」=取り扱うことのできるエアの総量
…すみません私の理解が浅い…ばかりに…説明が…アレですが…。つまりですね。このコンプレッサは、タンクのサイズ自体は11ℓと少な目なのですが、タンク内圧力の分をかけると、総エア量がとっても多いんです。
コンプの「能力」は、一見タンク容量に比例しそうと見せかけて実は、この総エア量に比例する!…と思ってもらって大丈夫かと思います!!!「能力」というか…総合的な「スタミナ」というか…?
このコンプAK-L1270E2Pは
「リッター」11ℓ×「圧力」45気圧→扱えるエア量の合計がだいたい500ℓくらい。
塗装用として売り出されているコンプで同じくらい…のがみつからなかったのでワンランク上のものですが、比べると、
「リッター」60ℓ×「圧力」10気圧→扱えるエア量の合計は600ℓくらい。
となります。…結構いい勝負では!?!?!?!?
まあ、総エア量500ℓと600ℓだと安心感がだいぶ違うらしく、それこそ二人で吹き付けする場合の壁が500と600の間には横たわってるらしいんですが…しかしおひとり作業には充分!
塗装用コンプの圧力が低いのは、あくまで圧力が不要な要素だからです。でも圧力が高ければ、倍率ドンで全体の「総エア量」は増やすことができます。
このコンプは、MAXがエア工具向けコンプで培った「高圧力」の技術を敢えて投入することで全体のエア量を増やし、かつあえてタンク容量を減らしてるんですね。
ではタンク容量を減らすと何が起きるか。
答えは、『軽くなる』です。
さっきちょっと言ったのですが、圧力を抑えてさらに塗装に必要な分のタンク容量を実装していくとハコみたいになっていきます。機械っつーか設備?みたいな。わりと別物と化していくんですよね。
そこまでいかないハンディタイプだったとしても、今度はそれを稼働させるのが大変です。原動力がAC200Vだったりガソリンエンジン式だったりしないと持ちません。これだと「現場」への搬入は難しいですね…。排気もあるしね…。
ここに目をつけたのがMAX!45気圧の高圧力なら…
AC100V!!重さ15Kg!!
いやーこれはね。この総エア量だと設備化しててもおかしくないのに持ち運べるとか画期的ですよ!!また動力源も排気レスに!
今回の商品は、そういう商品なのでございます。
目の付け所がよきですねぇ。。さすがはエア工具神です。
と、ここまで書きまして。
なんとなく!いちおう!「塗装用コンプ」における本製品の…立ち位置?は分かっていただけ…たかなー…?いただけてたらうれしい…と思うんですが…
じゃあ「エア工具用のコンプ」とは何が違うんじゃい、という話もしておかネバダ州ですね。
これだけだとただ常圧専用なだけじゃねぇかと。まあ常圧専用なのに45気圧ってのはちょっと珍しいにせよ。
話が前後するのですが…
塗装の場合、ご購入の前にチェックしていただかないといけない項目があります。
使いたいスプレーガンや、リシンガンなどがあると思うんですが、これ、1分間あたりに必要なエア量がおそらく記載されていると思うんです。
この数値を、エアコンプレッサーが1分間に作り出せる吐出量が超えてないとスムーズには使えない、ということがあるんすよ。
この「1分あたりの吐出量」は、前述の「総エア量」とは、無関係ではありませんが、比例するとかではないので、分けて考えねばなりません。
というわけで、スプレーガンの「1分あたりの使用空気量」と、エアコンプの「1分あたりの吐出量」を見比べて使えるかどうか見ることになります。
この数字がねぇ。エア工具向けだと小さいんですよねぇ。
たとえば同じMAXの「常圧専用」のコンプレッサー AK-LL9700Eだと、一分あたりの吐出量が測定値で「~85ℓ」。高圧コンプも大差なし。これが今回のAK-L1270E2Pだと測定値で「~128ℓ」となっています。
「~85ℓ」だと、スプレーガンの選定などで割と気を使うんじゃないかと思うんですよね。ぎりぎりというか。「~128ℓ」もさほど大きいわけではありませんが、ノズル口径φ1.0mmのスプレーガンなら75ℓ/分だとすると、タンクを止めずに余裕をもって継続的な使用が可能になります。
「~128ℓ」もさほど大きいわけではない、と書きましたが、確かにエアタンク量の多いものには1分あたりの吐出量も大きいものが多いんですよね…
とはいえ、こちらはちょこちょこ止めながら使えばそれ以上のものも使用可能、さらにこのコンプ、増設の補助タンクも別売しているから後から威力補正も可能、というところを考えると、けっこう違います。
↑増設用のコブタンクちゃん。
また、低圧域に関しては、回転数を上げて吐出量を増やす補正も入ってるみたいです。もともと圧が強いのもありますし、かなり安定して吐出されるようになっているとのこと。
そんな…塗装対応のコンプレッサ!いかがですか!!どうぞよろしくお願いいたします!!!!!
…まあ、なんだか長くなった上、難しくなっちゃったのですが…
ひとまず塗装でコンプを選ぶときは、
「パッと見小さくても、気圧×タンク容量が高かったらエア量自体はあるので安心してください!!必ずしも大きいのが強いわけじゃないよ!」
「使いたいスプレーガンやリシンガンの、一分あたりの空気使用量を見比べる!!」
の二つをね。なにとぞよろしくお願いしたいところです。かしこ。
スマホ連携のことも考えると、まさにMAXが今まで培ってきた機能を、今までとは少し違った場所にもっていってるな、というようなそういう商品です。ともかくとにかく塗装対応でこのサイズ、このコンパクトさですよ!なかなかのおすすめ商品になっております。
ぜひぜひよろしくお願いいたします!!!!
MAX 塗装対応 常圧専用コンプレッサ AK-L1270E2P
それでは~さらばです!!!